過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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791: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/10/01(火) 00:03:46.76 ID:ObsLsi9Ro

 あたしは決心を決めて、マリオンを振り返った。マリオンはあたしが言うよりも早く、

「マライアさん、それはいくらなんでも危険じゃ…」

とあたしを制止しにかかってくる。

でも、そんなこと言ってる場合じゃない!チビちゃん達の暮らしを脅かすわけにはいかないもんね!

「安全帯を付けるよ。マリオンはここで、安全帯の確保と指示をお願い。あたしはシート持って、屋上に上がる!」

あたしの言葉を聞いて、マリオンはなんにも言わなかった。黙って、うなずいてくれた。

 あたしはポンチョを脱いで、持って来ていたロープを体に括り付けた。

男性の寮母さんに用意してもらったビニールシートを小脇に抱え、

工具の入っていた腰のポーチに、ハンマーとアンカーボルトを詰め込む。

どうせ壊れてるんだ、コンクリートに直にアンカーボルトを打ち込んで、シートを固定してやる。

固定したうえで中から防水対策を施せば、少なくとも今のような浸水にはならないはずだ。

 あたしは、木の幹と崩れた壁の隙間に体をねじ込んで表に出た。屋上は、地上以上に風が強い。

もう、立っていることなんて不可能だ。

 あたしは、ひとまず、屋上の床に伏せたまま、畳んであったビニールシートの端っこを引っ張り出して

その上からアンカーボルトをハンマーで打ち込む。

このビニールシートだけは放しちゃいけない。

いったん広がってしまったら風にあおられるどころか、せっかくボルトを打ったところが、裂けて飛んでっちゃうだろう。

 カーン、カーンと金属音が響く。ハンマーを握る手が雨でぬれて滑るから、余計に慎重にならざるを得ない。

そうして、なんとか一本目を打ち込めた。次は、反対側に打たないと…

あたしは今打ち込んだ場所から2メートルほど匍匐姿勢で移動する。

途中でロープが張ってしまったので、マリオンに怒鳴って、送り出してもらう。

 二本目のボルトを打ち込んだ。ここからはもっと慎重に…シートを少しずつ広げながら作業をしなきゃいけないから、ね。

気を付けてよ、マライア。集中、集中だよ…!

 最新の注意を払いながら、3本、4本とボルトを打ち込んでいく。

どれくらいの時間が掛かったか、とりあえず、大きな開口部はおおよそ覆うことが出来た。

ふぅ、これで、浸水の心配はなくなったかな。

 「マリオーン!作業終わったから、戻るね!」

あたしは、マリオンにそう報告した。けど、マリオンから、とんでもない言葉が返ってきた。

「マライアさん!ここ全部ふさいじゃって、どうやって戻ってくるつもりなの!?」
 


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