過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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803: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/10/02(水) 21:31:29.01 ID:bHj1zBz9o

 そんなことを思っていたら、玄関の方でバタバタっと音がした。

なんだろう、と思うよりも早く、ホールのドアがバタンと勢いよく開いて、アヤが顔を出した。

「レナ、大丈夫か!?」

ちょっと!アヤ!まだみんな寝てるんだから、静かに!

 私は人差し指を立ててアヤに静かに、と合図をして、そのままホールの外へ連れ出した。

静かにドアを閉めて、改めてアヤに向き直る。

「おかえり、早かったね」

私が言うと、アヤはほっとした様子で笑顔になってくれた。

「ただいま。うるさくして、ごめん」

アヤはそう言って、私をギュッと抱きしめてくれる。もう、心配性なんだから。

「こっちは大丈夫だったか?」

「うん、マライアが頑張ってくれてたから、大丈夫だったよ」

私はアヤの体に腕を回しながら答える。

「マライアが?」

そしたらアヤは、ちょっと驚いたみたいにして、私の顔を覗き込んできた。

「うん、そう。何をしてたか、までは分からなかったけど…

 夜な夜なマリオンと外に出て、いろいろと対処してくれてたんじゃないかな。そう言う感じがビンビン伝わってきてたから」

「そっか…礼を言っておかなきゃな」

「あぁ、それなんだけど…知らないふりをしててあげた方が良いかもね」

「知らないふり?」

アヤはやっと私の体を離して、不思議な顔をしてそう聞き返してくる。

「うん、そう。夜ね、ちょっとだけ、マライアとマリオンが話しているのを聞いたんだ。

 すごく嬉しいこと言ってくれてた。マライアは、私達に心配をさせないようにって思ってくれてたみたい。

 ペンションの心配より、マライアの心配をしたいくらいだったけど…

 でもさ、私には、『なんにもなかった』って言うし、マライアがそう言うなら、その方がいいかなって思うんだ」

私が説明したら、アヤはふぅん、て顔をして

「まぁ、レナがそう言うなら、そうしておこう」

って言ってニコッと笑ってくれた。あぁ、アヤってやっぱり笑顔が似合うよね。

それを見てるだけで、私はどんな時よりも安心できるんだ。

「でもまぁ、なんかやってくれたんなら、礼を言ってやりたい気持ちはあるよなぁ」

「ふふ、そう言うことなら、今日はマライアに優しくしてあげて。あの子はきっと、それが一番のご褒美だと思うから」

「えぇ?アタシ、そう言うのが一番苦手なんだけどなぁ…」

アヤはいつもの照れ笑いでそう言う。何も、目に見えて優しくする必要なんてない。

マライアを甘えさせてあげる必要もない。あの子へのご褒美は、対等に接してあげることだって、私は思うんだ。

家族だ、って、そう言ってくれたからね。

アヤは端からそう思っていたんだろうし、私も、それが良いな、とは思っていたから、きっともっと、自然にそうなれるような気がするんだよ。

 アヤにそう言ったら、はははっと笑って

「分かったよ。まぁ、じゃぁ、肩もみでもしてやるかなぁー」

なんて言いながら、私の手を引いてホールへと入りなおした。
 


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