過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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◆EhtsT9zeko
[saga]
2013/10/02(水) 21:33:59.78 ID:bHj1zBz9o
マリオンの絵を見て、どうしてこんなところでひとりで描いていたのかが、分かった。
マリオンは、デッキに座った4人を描きたかったんだ。
ホールの大きな掃き出し窓の向こうのデッキに4人が並んで座っていて、その向こうには、青い海と青い空が広がっている、
まるで絵本の挿絵みたいな、眺めているだけで、ホッとするような、淡くて、優しくて、やわらかい絵だ。
「思った通り、マリオンは上手だね」
「あ…その、ありがとう、ございます」
私が言ってあげたら、マリオンははにかみながらそう答えた。
なんだか、その笑顔がかわいくて、私も自然に笑顔になってしまう。
ふと、昨日の夜、マライアが話していたことを思い出した。
そのときに、それを聞いたマリオンが、どこか嬉しそうにしている感じが伝わってきた。
私は、マリオンがそう感じてくれたことが嬉しかった。マリオンも研究所で育った家族のない子。
レオナとおんなじように、家族だと思って接してきたけど、それを嬉しく思ってくれているんだったら、そりゃあ嬉しいよね。
「あれ!みんな、なにしてるのー!?」
庭の方で声が聞こえてきた。デッキに出て覗いたら、ユーリさん一家が尋ねて来ていた。
「レナちゃん、昨日はすまなかったな。差し入れ持って来たんだ、良かったら食べてくれよ」
ユーリさんは、そんな気なんて遣わなくていいのに、袋に入った果物をいっぱい持って来てくれた。
「気にしなくっていいのに、わざわざありがとう。お茶入れるから、上がってよ」
「すごーい!お絵かきしてるんだ?ねね、わたしにもやらせてよ!」
「いいよー、マリちゃん!ロビンの紙、一枚あげるね!」
「じゃぁ、カタリナちゃんにはレベッカの紙あげるー!」
とたんににぎやかになったデッキを見て、マリオンが着色の作業を終えた。マリオンの絵を見ていたら、また彼女と目が合う。
マリオンはにっこり笑って
「完成、です」
と小さな声で言った。
本当にまるで絵本の挿絵みたい…きれいで、暖かい、幸せな絵だな…
額縁を買ってきて、ホールに飾りたいって、今度お願いしてみよう。そう思いながら私は
「マリオン、ユーリさん達にお茶出すの手伝ってくれる?」
と頼んでみた。マリオンは、笑顔のまま
「はい」
と返事をしてくれた。
それからしばらくみんなでお茶を飲みながらお喋りして過ごしていた。
夕方になったら、アヤが施設の作業を手伝っていたカレンさんとデリクくんにハロルドさんとシイナさんを連れて帰ってきた。
アヤはこうなることを予想してたんだろう、いつのまにか準備してあったバーベキューのセットを庭に広げて、
たちまち宴会が始まってしまった。
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