過去ログ - 恵美「もし私が日本に馴染めなかったら」
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8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/06/15(土) 22:46:14.05 ID:aEntuCFko
「帰ったぞー」

「おかえりなさいませ、魔王様。今日もお疲れ様でした」

はっきりと聞いた。
もう一人の男の声が、魔王様、と。

恵美(……)

恵美(……とても信じられないけど、でも状況から察するに――)

魔王と、おそらくアルシエルは、どういう手段を使ったのか、人間の姿になっている。
もしかすると、魔力のないこの世界の作用なのかもしれない。
そしてその姿で……人間社会に溶け込み、生活しているのだ。
間違いなく、邪悪な計画を企てながら。

ぎりっ、という音が聞こえた。
それが自分の歯ぎしりの音だと恵美が気づいたのは一瞬の後だった。

恵美の中に激しい怒りと憎しみが渦巻いていた。
彼女にとって久方ぶりに感じる激情だった。

その怒りは、夢にまで見た仇敵の姿に。
悪魔が人間に混ざって生活するおぞましさに。
そして、恵美に自覚はなかったが――自分と違い、やる気と誇りを感じさせながら働く彼の姿に。

恵美(……今は、我慢するのよ、エミリア)

魔王の拠点は確認した。アルシエルと同居しているようだ。
まず、二人が揃っているときに襲うのは得策ではない。
魔王が一人になったとき――できれば、奴の残している魔力の底を知ってから斬りかかる。
両腕で身体を抱え込むようにして、怒りからくる震えを抑えながら、彼女は帰途についた。


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