過去ログ - 律子「煙草は人を変えてしまいます。」
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27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:30:16.01 ID:R4yff/rr0
「……それなら、あなたも吸えばいいじゃないですか。」
「何をだ?」
「煙草じゃなくて、外の空気を、ですよ。」
「あぁ、そういう事か。どうしてだろう、やめれないんだよなあ。」

以下略



28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:30:56.33 ID:R4yff/rr0
「あっ、ちょっと止まって欲しいです……。」
「どうした?吐きそうなのか?」
「デリカシー無いって、よく言われません……?」
「言ってる場合か。ほら、そこの公園まで我慢してくれ。」

以下略



29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:31:49.13 ID:R4yff/rr0
「お見苦しい所を、お見せしました……。」
「気にしてないよ。それより、大丈夫?」
「さっきよりは、だいぶマシになりました。」

顔色は確かに良くなってはいるが、まだ青い。
以下略



30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:32:33.72 ID:R4yff/rr0
「家が近くて、よかったです。歩きで帰れる範囲でしたから……。」
「この辺、近いの?」
「えぇ。結構近いんですよ。」
「……せっかくの誕生日なのに、こんな事になって、ごめんな。」
「いえ、謝る事では。むしろこっちが謝りたいくらいですから……。」


31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:33:56.83 ID:R4yff/rr0
「よくよく考えたら、ご家族と一緒に過ごしたりしなくても良かったのか?」
「私だってもう大人です、こういう日くらい、好きな人と一緒の方が……。」

呆気にとられる俺と、顔色がゆっくりと青から赤に変わる律子。

以下略



32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:34:55.96 ID:R4yff/rr0
「どうせ今日、言う気だったんですから。でも、少しだけ、時間をください。」
「構わないよ。」

立ち上がって後ろを向き、1分間ゆっくりと深呼吸を続ける律子。
そして、こちらに向き直る。
以下略



33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:36:53.64 ID:R4yff/rr0
涙が出そうになったが、理性でカバー。
抱きしめたくなったが、本能でセーブ。
縦に頷きたかったが、俺の中のつまらない何かがブロック。

「ありがとう。素直に嬉しく思う。だが、すまない律子。俺はお前とは付き合えない。」
以下略



34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:38:29.65 ID:R4yff/rr0
「私は、もうアイドルじゃありません。プロデューサーなんです。あなたと同じなんです!」
「……。」
「あなたと同じように、お酒だって飲めます!煙草だって吸えます!あなたと、同じなんです……!」

眼鏡の奥の瞳に、大粒の涙が浮かぶ。
以下略



35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:39:37.06 ID:R4yff/rr0
俺と律子の間を隔てていたのは、他でもない煙草だった。俺が煙草を吸い始めたのは、律子がアイドルを辞めたことがきっかけだった。
何かパッとしない、そんな毎日にスイッチを入れたかった。
俺にとって、律子がアイドルでなくなった事の記号が煙草だった。
律子がアイドルを辞めた事による空虚を、律子がアイドルを辞めた事の記号で埋めていた。皮肉な話だ。


36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:40:40.94 ID:R4yff/rr0
「あなたが煙草を吸っていなかったあの頃みたいに、一緒にいたいんです!」

律子の目に浮かんだ涙は、頬を伝って手の甲に落ちて行く。

「アイドルを泣かせるなんて、プロデューサー失格だな、俺は。」
以下略



37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/22(土) 23:41:33.50 ID:R4yff/rr0
「タクシー、呼ぶから。」
「はい……。」

何分待ったかは分からないが、ようやくタクシーのご到着だ。

以下略



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