107: ◆.g97gKoujg[saga sage]
2013/12/22(日) 07:33:05.22 ID:WI7C6qaE0
マリアヴェルの口の端から一筋の血が流れていた。唇を強く噛みすぎたのか、口内にも鉄錆びのような味の血で溢れていくのを感じる。
マリアヴェルはその血を一気に溜飲しようとしたが、脳裏によぎった突飛もない発想がそれを押し留めた。
吸血鬼にとって血液は『力』だ。心臓の鼓動が血液を循環させる限り極めて高い再生力を発揮する。妖物の力が増す月の満ちた夜にもなれば、破壊された頭部を再生させる事すら可能なほどに。
吸血鬼である自分の血でこの少年(凉一)の吸血衝動を促し吸血鬼へと覚醒出来ないだろうか?
枯れた井戸に水を入れる呼び水のごとき行為がこの状況で有効な手段か解らないが、彼を助けると決断したマリアヴェルは既に治りかけている唇をより強く噛み切った――。
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