122: ◆.g97gKoujg[saga sage]
2014/04/05(土) 22:49:41.47 ID:ujHUU/pt0
「……外に出ても?」
慣れた自分のスニーカーを履きながら凉一は茨木に尋ねた。
「お前が何処に行こうと俺は構わない」
『構わないのなら何処に行こうが自分の勝手だろう』と、解釈した凉一は狭い庭に降りてこの場を離れようとした。
「……帰る事が出来るのか?」
「え……?」
茨木の問いを背に受けた凉一は思わず振り返った。相変わらず憮然とした表情の茨木は縁側から凉一を見下ろしている。
「御館様の忠告を受けてなお、自分の家に帰れるのか?」
射ぬくような眼差しを正面から受け止める事が出来ずに、凉一は茨木から目を反らしまう……
「……わからない」
それが凉一の本音だった。
家で自分の帰りを待つ祖父母に心配を掛けたくない。しかし、危険に巻き込む訳にはいかない――
「……そうか」
そう言い残して縁側から離れていく茨木が何を思っていたのか凉一には解らない……考えても仕方がないと、凉一は庭から繋がる林道へ足を向けた。
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