125: ◆.g97gKoujg[sage saga]
2014/05/04(日) 00:09:17.87 ID:zd+RR8SO0
白髪頭に深い皺、麻の単の着物が堂に入っている……少し腰が曲がって杖をついているものの老人の貫禄は、この大屋敷に相応しいものがあった。
「え、はい……あっ、すいません! その……勝手に入って……」
屋敷の住人であろう老人からしてみれば、自分は不法進入者だ。凉一は目の前の老人に慌てて頭を下げた。
あたふたしながら謝る凉一に、老人は目尻の皺をいっそう深くしながら顔をほころばせた。
「ホホッ、大丈夫ですよ。昨晩に御館様が担ぎ込んで来た時には酷い怪我でしたが、もう大事無いようですな」
『御館様』……老人の口から出たその単語は、彼も茨木と同じくマリアヴェルに仕える者を意味する。
――もしかしたら目の前の好好爺も人じゃないのか?
そんな考えが頭によぎり身体が固まる凉一を察した老人は更に破顔した。
「いやいや、そんなに警戒せんでも私は正真正銘ただの人間ですよ」
「あ……え? あはは……」
まるで自分の心の中を読まれたかのような発言に、凉一はバツが悪そうに頭を掻きながら苦笑した。
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