126: ◆.g97gKoujg[sage saga]
2014/05/04(日) 00:15:38.90 ID:zd+RR8SO0
「吾妻(あづま)です。どうぞ良しなに」
「比良坂凉一(ひらさか りょういち)です……あの、御館様ってマリアベル……さまの事ですよね?」
「左様です。吾妻の家系は御館様に奉公するのが務(つと)めでしてな」
凉一は老人……吾妻につられて名乗ると(実は吾妻は凉一の素性を調査済みだった)何故、人間の吾妻老がマリアヴェルに仕えているのか気になり、それを訊ねられた吾妻老は側にある庭石に腰を降ろすと、うやうやしく語りだした。
「恩返しですよ。その昔、この土地には悪逆非道な鬼の一族がおったそうでな……」
吾妻老の話を要約すると、
『大昔、村を荒らし廻っていた悪い鬼を、マリアヴェルと茨木が退治した』
と、いう事らしい。
それ以来、名主(なぬし)である吾妻の家は彼女らを土地の護り神として崇め、代々の当主が奉公するようになったという。
無垢な少年のように目を耀かせながらマリアヴェルらの活躍譚を紡ぐ吾妻老から、彼女への信望と憧憬、そして畏怖が凉一にもありありと伝わってくる。吾妻家ではマリアヴェルをまさしく神の如く語り継いでいるのだろう。
141Res/100.93 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。