131: ◆.g97gKoujg[sage saga]
2014/06/16(月) 00:35:32.76 ID:J7A8yhom0
夜の田園地帯を進む凉一は、湿った風に雨の匂いを感じた。
「……降るかもしれないな」
迫る雨の予感に凉一は歩みは徐々に速度を増して、丁字路を曲がり少し広い農道に出ると走り出していた。
その軽い足取りは、とても昨晩に死にかけていた者の動きには見えない。以前よりも速く軽快に走る凉一自身が驚く程だ。
(凄い……これが吸血鬼の力なのか?)
更に速く、もっと速く……凉一は駆け抜ける。
「……!? ぶあっ!」
しかし、顔にぶつかる細かい何かのせいで急停止してしまう。
凉一は口に入った『何か』を吐き出すと、唾液に混じって数匹の藪蚊がのたうち回っていた。どうやら電信柱の街灯に群がった蚊柱に顔から突っ込んでしまったようだ。
「ぺっ……あぁもう!」
蚊は全て吐き出したはずだが、口内の違和感が拭えない凉一は苛立たしげに唾を吐く。
右目にも異物感のある、蚊が入ったらしい。溢れる涙を手で拭うと、ふいに気配を感じた。
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