7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/27(木) 22:36:36.53 ID:Mi8zjoZEo
「まず、先生がわざわざ『雨』の色、と限定したことから考えます」
「水でもなく、雨だからなあ」
顎に手を当てて、ゆかりの言葉に従って思考を連鎖させる。
「先生が敢えてそうしたのは純粋な色を訊いているのではなくて、雨という存在に対して私達がどう見えているのか、という部分を知りたかったのではないかと思います」
その声色には流れるような旋律を伴っていて、梅雨の暗い気分を穏やかにさせてくれる、微かな心地よさがあった。
「とすれば、雨という現象はそれを捉える人によって感覚は大きく違っている、と考えても変ではありません」
「ああ、だから『何色にも化ける色』である白色を選択したのか」
俺がそう答えると、ゆかりは小さく微笑んだ。
「やっぱり、プロデューサーさんは私の事がわかってくれていますね」
15歳にしてこの柔らかな笑みは、世界広しと言えどもそうそう出せる人は居ない。
一見規律正しい丁寧な雰囲気を装いつつ、接していると人懐っこい一面が段々見えてくるというのがゆかりの魅力でもある。
しかし、白色とは思い切った意見だ。
所謂キャンパスの白を連想して答えたのだろうが、国語的感覚から言ってもゆかりの回答は十分説得力があった。
「なるほど…そういう観点もあるんですね」
翠も俺と同様に驚いたようで、ゆかりの意見をうんうんと頷いて聞いていた。
20Res/19.92 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。