24: ◆WoKACJPFC.[saga saga]
2013/06/30(日) 01:10:47.26 ID:FTXTCDQr0
私は、恐る恐る船から降り、一番近くにあるポストに向かった。
光沢のある表面に手を伸ばし静かに触れてみる。
25: ◆WoKACJPFC.[saga sage]
2013/06/30(日) 01:12:44.80 ID:FTXTCDQr0
私は、震える声でポストに話しかける。
『あなたは…生きているのでしょうか…?』
26: ◆WoKACJPFC.[saga ]
2013/06/30(日) 01:26:51.72 ID:FTXTCDQr0
ポストは、依然としてその立ち振る舞いを変えず、ただその場に存在するだけだった。
私は、もう一度ポストの表面に触れてみることにした。
暖かな血の流れが、たしかに感じられる。
27: ◆WoKACJPFC.[saga ]
2013/06/30(日) 01:31:20.79 ID:FTXTCDQr0
地面には薄黒い苔のような草が敷き詰められており、そこから無数のポストが生えている。
上を見上げると、そこは闇であった。
夜の持つ闇ではなく、何処までも深い井戸を見下ろしたような、筒抜けの空洞による闇であった。
28: ◆WoKACJPFC.[saga ]
2013/06/30(日) 01:32:58.55 ID:FTXTCDQr0
ここで、立ち止まっていてもどうしようもない。
私は、都会のビルのように立ち並ぶポストの間を歩き出した。
右を見ても、左を見ても、完璧に統一された赤いポストの集団がこちらを監視している。
29: ◆WoKACJPFC.[saga ]
2013/06/30(日) 01:38:27.56 ID:FTXTCDQr0
私は、いよいよ恐ろしくなった。
先ほどまで、ポストだと思っていたモノは、『血の通った得体の知れない物体』なのである。
私は、この世界において『ポスト』という理解できる物体の存在によって、かろうじて自分の心における常識を保ってきた。
30: ◆WoKACJPFC.[saga sage]
2013/06/30(日) 01:39:28.95 ID:FTXTCDQr0
今日はここまでです。ご視聴いただきありがとうございました。
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