過去ログ - リヴァイ「俺が何者なのかを証明しよう――この大物を釣ることによって」
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209:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/05(月) 23:11:18.22 ID:onjTWGp30

「フゥー、フゥーッ……」

獣の巨人が動きを止める。荒げた鼻息は激しく、まだ興奮しているのは一目瞭然だった。
力任せに何度も何度も拳を振るっていたせいか、手首から先が折れ曲がり血を流している。高温の蒸気を発しながら、それがゆっくりと再生していった。

「ムカつく……ムカつく……」

一歩後ろへと下がった獣の巨人は、怨嗟が篭った重たい声を呟きながら棒立ちになっていた。
屈辱だ。屈辱だ。
殺しても殺し足りない。どうして圧殺なんかしてしまったのだろう。自らの手で、手足をゆっくりと捥ぎ、絶望の淵へと叩き落したかったのに。
あまりの屈辱さに、自我が吹き飛んでしまったせいか本能に従って殺してしまった。
ちょっと、ほんのちょっとでも本気を出しただけで、すぐに死んでしまった。

「あー……ムカつくな」

それが余計に獣の巨人の屈辱感を煽っていた。
ちょっと本気を出せばすぐに死ぬような格下の癖して、有り得ない恐怖を感じてしまった事が。
もっと残酷に殺したかった。圧死など楽に死なせすぎた。物足りない。物足りない。

あの人間が最後に逃げ込んだ見張り塔は、己の巨体を越える建物の高さを誇っていた。
きっと逃げる事を諦めて、一矢報いようと悪足掻きでもしようと思っていたのだろう。あの高さならうなじも狙える。
ワザと隙を作って、そこを防ぎ、再度の絶望に堕とすのが良かったのではないか。

もはや後の祭りにも関わらず、頭に上った血は下がらず、脳内で残虐なショーを思考する。
それを誰も咎める者はいない。
一喝により通常の巨人は遠ざかり、敵だった人間は死を迎えている。
もし近くに何かがいれば、この屈辱を八つ当たりしていただろう。それ程までに、深く深く憤っていた。



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