過去ログ - 響「National Holiday」
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47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/07/01(月) 20:48:45.91 ID:eKVRquV80

 喧騒はその鳴りを潜め、気まぐれに吹く風が火照った体を冷やす。
暫く同じ姿勢を取っていたため、立ち上がると少しふらつく。

 二人で暗くなった空を掴む様に伸びをする。
硬くなった関節が心地よく引き伸ばされる。

響「んー、なんかあまり面白くない映画だったね」

P「おこちゃま響には難しかったか」

響「子供じゃないぞ! 確かに話はよくわからなかったけど。
  ねぇプロデューサー。最後のシーンってどういう意味だったの?」

P「……ごめん、俺もよく分かんなかった。とりあえず、金が掛かってた事は確かだな」

 目をつぶる。銀幕に映っていた創作の世界を思い出す。
豪華絢爛。一握りの人間しか立つことを許されない世界。

 目を開ける。そんな世界に立つことを許された少女達。
光り輝く世界に、舞台に綺羅星のごとく輝くアイドル達。

響「自分も映画出てみたいぞ!」

P「出ようと思えばすぐ出れると思うぞ」

響「ほんと?!」

P「ああ。以前オファーくれたところもあるしな。でも仕事のスケジュール組み直す必要とかがあると思う。
  ……映画だと時間単位の割が合わないんだよな。あんまり美味しくないっていうか。まぁその後の露出度とかを考えればプラスなんだけど。う〜ん」

 腕を組み思考の海に身を沈める。
前貰ったオファーは買い叩こうとする気が満々だったために断った。今の知名度ならそんな心配はないか。

響「プ……ュ……ー」

 でも響だと冠もあるし帯もあるからまとまった時間が取りづらいんだよな。ほかの収録の都合もあるし。
規模が大きい話なら社長に相談する必要もあるな。律子と意識合わせする必要もある。俺の時間も取れるか?

響「プロデューサー!」

 鈴を振るような声に現実に引き戻される。

P「ん、ああ悪い悪い。考え事してた」

響「今日はオフなんだから仕事の事は考えないの。……えへへ」

P「どうかした?」

響「休みでもみんなのことを考えてるってプロデューサーらしいなって思ったんだぞ」

P「……え?」

 そんなことはない。ありえない、ありえないはずだった。
スケジュール帳も、社用携帯も、スーツも、革靴も、仕事に関わること全てを拒否して。仕事のことを考えるだけで気が重くなって。

 同業者に、ライバルに、律子に、自分に。誰の後ろ姿も見ない為に、出し抜かれない為に走り続けて、突っ走り続けて。
……一人で走り続けて。

響「どうかしたのプロデューサー」

P「…………どうしたんだろうな」

響「?」

P「……なんでもないよ」

響「そっか。……うん、そっか」



響「プロデューサー。ちょっと散歩して帰ろ」




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