32: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:41:00.97 ID:bAq3pyUe0
ここでやっと僕の回想の冒頭に戻ってくるということになる。
部屋に閉じ込められて既に十分は経過した実感があった。
まさかこのまま一生ここにいることになるというのか?
33: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:41:41.83 ID:bAq3pyUe0
そこにはあり得ない程の量の人名と顔写真があった。
どこまで言っても底など見えないぐらいにあった。
どの顔にも見覚えがない。いったい、誰なんだ?
34: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:42:24.56 ID:bAq3pyUe0
「あ」
その声を絞り出すだけで、やっとだった。
ああ。ああ。なんで。なんで、死んでる?
35: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:42:59.51 ID:bAq3pyUe0
「なんで。なんで、こんなことに」
女性の声が聞こえる。これは第三者視点で撮られている?
どっきりにしても悪趣味がすぎる。だが僕は目を離せない。
36: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:43:27.21 ID:bAq3pyUe0
僕は見ていられなくなり、震えながら操作した。
「おわる」を選択し、顔写真の画面から、右キー。
するとまた、当初表示されていた画面に戻ってきた。
37: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:43:54.04 ID:bAq3pyUe0
あと 146282298 秒です。
ニア・おわる
38: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:44:27.02 ID:bAq3pyUe0
よく見ると、表示されている数字が減っている?
今もゆっくりと減少を続ける制限時間らしきもの。
僕はそれに、また恐怖を覚えざるを得なかった。
39: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:45:09.02 ID:bAq3pyUe0
僕は恐怖から見つかる事も厭わず大声を出していた。
喉が痛い。走って肺が痛い。足だって同じく痛い。
途中で転んですりむいたりもしていたが走った。
40: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:46:46.63 ID:bAq3pyUe0
「ああ、もしもし。わたし。暇で電話しちゃった」
彼女か。ああ。やっと友人と声を交わせた。
それが再び涙する一因となって頬を伝った。
41: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:47:20.43 ID:bAq3pyUe0
「それでもいい。今はちょっと、声が聞きたいんだ」
「わたしもちょうど、あなたの声が聞きたかったの」
42: ◆hOVX8kZ7sLVS[saga]
2013/07/02(火) 22:47:48.11 ID:bAq3pyUe0
そろそろ、今日も終わってしまうな。七夕か。
織姫と彦星。その二人が出会うんだっけか。
まどろみながら僕はそんな事を考えていた。
162Res/110.59 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。