894:モヤシンズグリード ◆TspHqBVqH9jK[saga]
2013/10/13(日) 19:29:42.67 ID:hYzcSBUeo
それでも、風斬氷華は微動だにせず、ただ目の前のゴーレムを見据えていた。
―――まるで、切腹する覚悟を決め呼吸を整える侍のように
「私の事はいいから、あなたは早く逃げて」
「そんな……ひょうかはどうするの!?」
暴風の渦に呑み込まれそうになる三毛猫を必死に押さえつけながら、
インデックスは、一向に振り返ろうとしない風斬を問いただす。
その時、うつ伏せに倒れていた石像が膨れ上がった右腕を振り上げた。
ゆっくりと動くその様子は、無理矢理押さえつけられるバネを思わせる。
辺りのビルごと彼女たちの体を吹き飛ばせそうな暴虐の一撃。
だが、それ程の危険が目前に迫っても風斬は一切動じない。
「私は、あの化け物を止めないと」
そして、静かに高度を上げていったゴーレムの拳がピタリと止まる。
絶対に外さないよう正確に狙いを定めようとしているかのように
「駄目だよ、ひょうか! あれは、私達の手に負えない化け物なんだよ!
だから、無理に戦おうとしちゃダメ! 早く逃げよう、ひょうか!!」
必死に訴える様に叫ぶインデックスに、風斬はようやく振り返った。
そして、何か諦めたような弱弱しい笑みを浮かべながら口を開く。
「私も化け物だから、心配ないよ」
風斬の言葉に、インデックスは思わず息を呑み言葉を失ってしまう。
そんな彼女の表情を見て、風斬は耐え切れなくなったように前を向く。
「ごめんね、ずっと騙してて」
震える声でそう告げた瞬間、墜落する隕石のようなゴーレムの拳が放たれた。
轟!!! と空気が押しつぶされ、その余波だけでインデックスは思わず縮こまる。
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