過去ログ - 文才ないけど小説かく(実験)4
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58:組長(お題:二代目)2/4
2013/07/18(木) 21:58:26.74 ID:/9FKMm/Go
「もう苦しむこともないぜ」
俺は親父にそう呼びかけた。返事はない。完全に眠っている。
 俺はゆっくりと手を顔に近づけ、青いプラスチックのマスクを掴んだ。そしてそれを慎重に下へ
ずら、そうとした。
何かが視界の隅に写った。枕の下……白いシーツだからわかりづらいが、枕の下から白い何かが
少しだけはみ出ている。
俺は一旦マスクから手を離し、それを取り出した。封筒だ。裏返して表を見ると、『遺書』と書い
てある。
「阪本さん!」
いきなり名前を呼ばれ、俺は反射的に封筒を後ろに隠した。見ると病室の入り口に、倉田が立って
いた。
「な、どうしたお前! 中村んとこ行ったんじゃないのか!」
そう言いながら後ろ手でなんとか封筒をズボンの後ろポケットに押しこむ。
「い、いえ、どうしても親父のことが気になって……」
「馬鹿野郎! ノックぐらいしろお! いきなりでけえ声だして親父の体にさわったらどうすん
だ!」
「す、すみません……」
あ、危なかった。
「親父……」
倉田は親父に近づいて、じっと顔を見る。
「おい、俺はちょっと席外すから、親父頼むわ」
「あ、わかりました」
とりあえずこの遺書の中身を確認しないといけない。俺はドアノブに手をかけ、出ようとした。そ
の時、倉田が言った。
「阪本さん……親父の枕元ってなんかありませんでした?」
心臓が飛び出るかと思った。しかし、できるだけ平静を装って、
「いや、なかった」
と答え、俺は部屋を出た。


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