過去ログ - 恵美「もしも魔王の正体に気づかなかったら」短編集
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[sage saga]
2013/07/13(土) 19:12:14.22 ID:OcKQEmd6o
がたんごとん、と電車が揺れる。
同時に、腕の中と、肩にかかる重みも。
恵美「うう……」
腕の中にはまたもおねむのアラス・ラムス、そして右肩には、眠ってしまった貞夫の顔が乗っている。
……家で寝ているときにもこれくらい密着しているのだが、外だとまた別の恥ずかしさがあるものだ。
夕方で良かった、と思う。赤くなった顔が少しは誤魔化せているだろうから。
老婆「ご家族でお出かけですか?」
恵美「え?」
横を見れば、貞夫の反対側のおばあさんが声をかけてきていた。
恵美「え、ええ」
おばあさんはにっこりと笑った。
老婆「仲のいいご夫婦ですね」
恵美「……はい。そうなんです」
貞夫が寝ているから言えたのだろうその返答に、おばあさんは微笑ましそうに再び笑った。
腕と肩の重みが、これ以上ない幸せの証に感じた。
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