過去ログ - 恵美「もしも魔王の正体に気づかなかったら」短編集
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[sage saga]
2013/07/13(土) 19:14:19.93 ID:OcKQEmd6o
漆原「……ま、何よりも」
鈴乃へ向けていた視線をパソコンに戻した漆原は、
漆原「こんな最高の暇つぶしアイテムは魔界にも天界にもないしね。人間やばい、マジやばい」
いつもどおりの頼りない表情だった。
鈴乃「……あまり無駄遣いをするなよ。私には関係ないが、アルシエルの怒鳴り声が私の部屋にも響いてうるさい」
何しろ今、魔王城の壁は安普請という以前にガブリエルとの戦闘で穴が空いており、
自転車カバーで無理やり塞いだものの音は筒抜けなのだ。
漆原「買い物ならあいつのいない時間に届けてもらうから大丈夫だよ」
気づけば、手に持った湯のみは空になっていた。
まったく堪えていない様子の漆原に嘆息しながら、鈴乃は玄関に向かう。
鈴乃「今夜はエミリア達が来るそうだな。貴様も少しはアラス・ラムスの相手をしてやれ」
漆原「手が空いたらね」
遊びと暇つぶしで手一杯の堕天使はそう言った。
鈴乃「……仲良く、か」
外に出て、独りごちる。
敵対するはずの魔王軍と隣の部屋に住み、ときに気軽に行き来する今の状態を、自分は――
それ以上は考える気にならず、鈴乃は自宅へ戻った。
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