過去ログ - 薫「魔法少女?」まどか「超能力者?」
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EPA「キャッツ オン ザ ストリート」9
◆X/Lv.1Xswo
[saga]
2013/07/15(月) 22:17:37.84 ID:hZXSI6CE0
ユーリは自分の傍らに立つナイを見る。
彼女に視力がなく、目にバンダナを巻いているのは生来の障害のためではない。
いざという時はいつでも始末できるように頭に爆弾を埋め込まれ、そのために
失明したのだ。
バンダナは目を保護するためではなくその手術跡を隠すためのものである。
ユーリはナイがどうして自分たちの組織の手に渡ったのかまでは知らない。
しかし、これが行き場のないエスパー児童の行き着く末路だということは
よく分かっていた。
いまここで行き場を失った少女もやがては同じ道をたどるのかも知れない。
そういうエスパーたちを搾取する側であるユーリは、自分では何もできないことを
知っていた。
ほんのわずかな哀れみを抱いたまま、その場を後にしようとする。
〔――それでも――〕
微弱なテレパシーがユーリの足を止めた。
〔――それでも、生きたい――〕
ユーリが振り向くと、さっきまでうずくまっていた少女は日本の足で立ち上がり、
まっすぐにユーリの方を見ている。
「……お姉ちゃん、お願い、連れて行って」
なおも生きる意思を失わないその強いまなざしに、ユーリは逆らいがたい
何かを感じた。
気がつけば、ユーリはその少女の手をとっている。
「あなた、名前は?」
「ゆま。千歳ゆま」
少女は短く、そう答えた。
そのとき既に、ユーリの中の意思は決まっていた。
(一人暮らしの中学生で猫を二匹飼うのは無理があるわね。
でも中学生と小学生だけの暮らしって言うのもまずい――)
そんなことを考えながら、ユーリは再び帰途についた。
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