38: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:34:42.71 ID:EnRHzSex0
「お前は」には、恐らく立たせた生徒であるから、という意味があるのだろう。
不名誉ながら、美人の記憶に残れただけに、よしとしようと思った。
先生はさり気なくたばこを取り出したので、慌てて僕は止めていた。
「ここ、喫煙室とかねえのかよ。教職員用のトイレに一本流してたんだが」
「ありません。それにトイレ詰まりますし警報機なりますよ。怒られます」
「お前は、それにしても、口調が固い。もっと気楽に喋れよ。鳥肌が立つ」
「そんなことを言われても。だって、先生ですし。目上の人には敬語です」
「黙って言うこと聞け。お前の次の数学の成績、出席点だけゼロにするぞ」
国家権力の横暴だった。僕は仕方がないので、目上の人に対し、慣れない口調で話した。
それを見ると先生は満足そうに「それでいい」と言い、ついには、たばこに火をつけた。
「歳食ってるからって、まともな人間なんざ、数えるほどしかいねえんだよ」と続けた。
「少なくとも、あたしは、まともな人間じゃないけどな。真似すんなよ」
「しませんよ。火消してください。臭い残ったら怒られるの僕らですよ」
「わかったよ。お前は姑か。ああ、なら、吸えるとこでも行くとするか」
「お前も来い。飯ぐらいなら、奢ってやるよ」と笑顔で言われて、頷いた。
大雑把だけども、根は良い人なんだな、と僕は先生に対し、感嘆していた。
まだ、星は綺麗だ。
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