63: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:50:32.72 ID:EnRHzSex0
「ああ。お帰り、お父さん。お疲れ様。お父さん、大丈夫?」
「大丈夫だ。少し、身体がだるくてな。熱でも、あるのかな」
また熱なのか。集団感染していないだけ、ましだと思う。
どうやら、僕だけは家族内で例外であるらしい。何故だ?
「お母さんも熱を出したんだ。今から家事をやる予定なんだ」
「そっか。すまんが、任せていいか。お父さんも少し寝るよ」
「うん。大丈夫。後で何か、食べやすいものでも持っていく」
「助かる。それじゃ、よろしく頼む。後々起きるかもしれん」
そう言い、父も寝室に入っていった。どうなっているんだ?
もう十一月であるし、季節の変わり目は過ぎている頃だろう。
すぐに治ればいいのだが。両親とも、風邪など引かないのに。
そう思ってはみても、両親の体調は、回復する兆しもなかった。
こちらの時間で毎日毎日看病しても、全く熱は下がらない。
どこの医者に連れて行っても「風邪でしょうな」で終わる。
どの医者も、やぶ医者の世界だ、と言うのか?ふざけるな。
僕は学校にも行かず、両親の看病を続けた。
父は、今まで取らなかった有給を全て使い、回復に努めた。
母も料理を作れなかったので、買ったり、僕が作っていた。
体調は日々、悪化していく一方だった。苦しそうな寝息だ。
母は言った。
「もう、お母さんも、お父さんも、長くないのかもねえ」
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