過去ログ - ゲームは一日一時間
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64: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:51:03.22 ID:EnRHzSex0

「お前が、大学入学するまでは、死ねないから、安心しろ」

父は、母の気弱な言葉に対し、そうフォローしていた。
珍しく堅実な父が豪快に笑い、僕まで笑ってしまった。

「そうねえ。あなたが結婚するまでは、お母さんも、死ねない」

「ねえ。どこか、大きい病院を探そう。このままじゃダメだよ」

「いいんだ。信用してる医者に行った。それでも、風邪だった」

「絶対に違うよ。何かの病気だ。じゃなきゃ、おかしいでしょ」

珍しく朝になったその日に僕は両親をタクシーに押し込んだ。
近くの大病院に連れて行って、順番を待ち、両親を座らせた。
両親とも「大丈夫」を繰り返していたが、そんなわけはない。

しかし、診断結果は、変わらず。

「ほらな。すぐに治るから。今日は、寿司でも、とるか」

「たまには、いいですねえ。あなたも、好きでしょう?」

両親は見え透いた言葉で、僕を励まそうとしているのが分かった。
辛いなら、辛いでいいじゃないか。どうして、そこまで気を使う。
言いたくても、儚げな両親の笑顔で、それは言葉にならなかった。

「うん。僕も、お寿司が食べたいな」




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