69: ◆tSiWM5GIyDZg[saga]
2013/07/14(日) 18:54:07.74 ID:EnRHzSex0
僕の声で再び目を覚ましたのか、母が僕の部屋にやってきた。
「何を泣いているの?」と問われて、僕も「大丈夫だよ」と答えていた。
どこか、少しだけ、両親の気持ちが分かった気がした。辛いものだった。
それを見かねたのか、母は優しい声音で、僕を諭すように笑顔で言った。
「ねえ。少し前に『一日が二十四時間だったら』って、言ったでしょう」
僕はそれに頷くと、熱があるであろう頬に手を当てながら、母は考えていた。
「あ。思いついた」と言うと、ぽんと胸の前で手をたたき、僕にこう告げた。
「お母さんなら、もっと、人と話したかったかな、って思う」
「お父さんに言ったら怒られるけど、お母さんは、もうダメ」
「二十四時間あれば、もっと、生きられたんじゃないかって」
「二十四時間あれば、もっと、人の事を好きになれたと思う」
「いっぱい話して、人の事を知って。人のことを好きになる」
「お父さんとも、毎日、十分くらいずつ、デートしてたのよ」
「少しの時間の中で『この人しかいないな』って、思ったの」
「それでねえ。きっと、あなたには、厳しくなってると思う」
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