1: ◆FLVUV.9phY[saga]
2013/07/16(火) 07:12:02.88 ID:nChpEKv8o
この世界には、奇跡も魔法も存在する。
だけれど、いいえ。だからこそ、というべきかしらね。
この世界は余すことなく理不尽で残酷だ。
真っ暗な結界の中で魔女を倒した私は淡々とそんなことを考えた。
四年ほど前にね、私は一つの願いと引き換えに魔法少女になったのよ。いえ、なってしまったの。
今にして思えばね、どうしてもっとうまい願いに出来なかったのか、とかどうして自分だけ助かるような願いをしたのか、なんて後悔するの。
どうして、どうして極限の状態で私は両親の回復を願わなかったんだろう。違うわね、どうして願えなかったんだろうって。
だけれど本当はね、しょうがなかったんだ、そう思えて諦めてしまっているわ。
そして、それが私の『心の温度』が冷め切ってしまう原因だったのだろう、今になってみれば自然とそう
思えるの。
そんな自己嫌悪とも、自己回帰ともつかないことを考えているとね、不意に、本当に不意に最近であった
魔法少女のことを連想したわ。
名前は確か、暁美ほむら、さん。
目を見た瞬間にね、分かったわ。
暁美さんが私と同じように『心の温度』が低い人間だって。けれど、私とあの子は決定的に違う。
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2: ◆FLVUV.9phY[saga]
2013/07/16(火) 07:13:03.14 ID:nChpEKv8o
私たちはきっと似ているのよ。だけどね、それでもやっぱり相容れない考えを持ってしまっているんじゃ
ないかしら。
だからかしらね、少しつっけんどんな態度を取ってしまったわ。
3: ◆FLVUV.9phY[saga]
2013/07/16(火) 07:14:02.79 ID:nChpEKv8o
力の抜けた体を引きずって、ようやくと家に帰りついた私は取り留めもなく、考える。
分からない、本当に、分からないわ。
あの子は、暁美さんは何を考えているのかしら。
4: ◆FLVUV.9phY[saga]
2013/07/16(火) 07:15:01.99 ID:nChpEKv8o
えぇ、まぁだから。全力で瞬殺してやりましたとも。
でも本当に、なんで敵性を見出しているはずの私に対してあそこまで命を懸けられるのかしら。
そう言えば、
5: ◆FLVUV.9phY[saga]
2013/07/16(火) 07:16:04.72 ID:nChpEKv8o
私にまた弟子が増えた。
正直に言って気が重たいわ。
だって、私に関わった魔法少女たちは遅かれ早かれ『心の温度』が下がっていってしまうから。
6: ◆FLVUV.9phY[saga]
2013/07/16(火) 07:17:02.01 ID:nChpEKv8o
ねぇ、佐倉さん。どうして今更ながらに私の前に姿を現せたのかしら。
あなたの言葉は、なんていうか、空虚に聞こえるのよね。中身がこもっていないというか、口ではなんとでも言える、というか。
けれど、事実として私とあなたはチームを解散して縁を切ったわよね。
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