過去ログ - モバP「凡人と第六感」
1- 20
117: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/25(日) 06:05:34.80 ID:79dYTcmBo
「教え込まれたものは、全部必死にやって、そして上手くなった。でも、周りの人は、私を天才だ、天才だと囃し立てるだけだったわ」

 彼女の悲しそうな表情が、少し胸を締め付けた。その気持ちは、少しだけ理解できる気がする。

 私も、幼少期はいろいろなことに手を出していたが、いつしか全部やめていた。それは、やはり一定の努力をすると、あるところで実力の向上が止まり、挫折をしたからだ。

 そこには確かに、目に見えない”才能の壁”が存在する。それを努力で超えることは不可能ではない。だが、乗り越えれば乗り越えるほど、次に現れる壁はだんだん高くなっていく。

 彼女は、その実力を手に入れるために、どれほどの努力をしてきたのだろうか。どれほどの”才能の壁”を乗り越えてきたのだろうか。それほどの努力をしたことのない私では、想像もできない。

 その努力を、”天才”の一言で片づけられるのは少し悲しい、と私は思った。

「Pさんが初めてなのよ、私のことを平凡、と呼んでくれたのは。……嬉しかったわ」

 彼女は、にこりと微笑んだ。その微笑みが、酷く眩しく感じる。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
217Res/148.60 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice