149: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/09/01(日) 07:00:39.73 ID:GlcPGu06o
そして、その問いかけに対し、私は全ての記憶と、全ての思い出を今再び、走馬灯のように思い起こす。七年前、あの事務所に採用されたあの日から培われたものだ。
決して華々しい思い出ではない。平凡ですらなかったかもしれない。それでも、今この場において思い起こすと、全てがこれ以上ないぐらい愛おしい思い出だ。
『……お答えする前に一つ、お聞きしても良いですか』
私は、質問に質問を返す。これが失礼だと言う事は、社会人として重々承知だ。それでも聞いておかなければならない事だった。
(そういえば、以前もこんな会話があったな)
言葉を吐いて、寸刻経って私はそう思い返す。そうだ、あれは千秋さんとの問答だったと思う。思えば、彼女との出会いが私を変えたのではないだろうか。ぼんやりと、そんなことをふと考えた。
「ふむ、何かね?」
そんな社長の言葉が、私をエントランスホールへと呼び戻した。私は、少し頭を振って意識を正し、少し息を吸ってからおずおずと尋ねる。
217Res/148.60 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。