203: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/09/14(土) 04:14:58.71 ID:rrrgeDjMo
「こら、Pくんにも黒川さんにも失礼だ。慎みなさい」
「へへ、いや、すみません。どうにも嬉しくなっちまったもんで。Pさんがプロデューサーってのは、意外っちゃ意外でしたけど、でも元同僚が活躍してるってのは聞くだけでテンションあがっちゃいますよ」
一番手プロデューサーは頭を掻くと、少しばかりはにかんだように笑う。
お調子者なところは変わっていないが、不思議と彼に抱いていた、嫌悪感や苦手意識と言う物を感じなかった。
私は、それがかつての鬱屈した自分が、彼に密かに抱いていた嫉妬や羨望であった、と気づく。
(……なるほど、私は思ったよりも俗物だったというわけだ)
そう、内心で呟いた。今でも私は凡人だが、彼の才能に嫉妬することも、羨むことはもはやない。むしろ、この凡庸さを誇りたいぐらいだ。
「まあ、的確にPくんの才覚を見抜いた、シンデレラの社長さんが凄かったってことだよ。私は彼の才能を、完全に見抜くことはできなかったからね」
社長は、少し残念そうに、そして少し寂しそうに言った。
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