過去ログ - モバP「凡人と第六感」
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45: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/05(月) 01:22:29.21 ID:Fg9GCM/jo
『あの、黒髪の女性ですか』

「おっ、良くわかったね。もおやおや、しかして、タイプの子だったかな?」

『はは、御冗談を……。楽器を持ってらっしゃらなかったので、少し気になっただけですよ』

 見とれていたのは事実だが、そういうわけではない。どちらかと言えば、素晴らしい芸術品を見たときの様な、そんな感じだ。

 私はそう苦笑しつつ、ブランデーを少し口に含む。芳醇な香りが鼻腔をくすぐり、少し体の温度が上がった気がした。最近は酒をあまり飲んでいなかったので、少し弱くなったかもしれない。

「わっはは、そりゃ悪かった。まあ、今日は残念だったけれども、明日もクラシック曜日の予定だ。あの子ももう一回出る予定だよ。また明日も来てくれればいいさ」

 マスターは少し意地悪そうに口角を吊り上げると、他の客に呼ばれていたのか、カウンターの向こう側で動きはじめる。かなり忙しそうだ。

 それもそのはずで、店内はかなり混雑していた。と言っても、バーの趣旨が趣旨なので、席がぎっちり敷き詰められているわけではなく、店の広さに対していささか席数は少ない。

 そういう意味では空いていると言えたが、席数から見ればほとんど満員に近しいだろう。

 だから、そうなったのは、ある意味必然だったのかもしれない。



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