59: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/08/11(日) 03:16:06.71 ID:fDDiOZLHo
『……そうですね、感動はしなかったです。とても凄まじい声ではありましたが』
「っ、どういう、ことかしら」
少し、彼女の目つきが厳しくなった気がした。
今更、しまった、と思ったところで口から出た言葉が撤回できるわけでもない。そして、それを申し出たところで、彼女は言葉の真意を確かめるため、私に詰問をしてくるだろう。
やらかした、というのが本音だった。こういう失言をしないために普段注意していたのだが、今日は少し気が緩んでいたらしい。
『あー、と、その。素人の勝手な感想ですので、気になさらない方が宜しいですよ?』
「いい、Pさん? 聴衆のほとんどは素人なの。素人の意見や感想は、私にとってはこれ以上ないくらい必要な物。だから、ぜひとも教えてほしいの」
なんてことだ。完全に退路は遮断されている。袋の鼠というやつだ。口は災いの元と言うが、まさしくその通りだ。
二十歳過ぎればただの人、の格言しかり、昔の人はどうも私のことを言い当てるのが得意らしい。というよりも、格言が当てはまるような平凡な人間という証左なのだろう。
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