5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/08/01(木) 23:09:25.54 ID:a9tfMA/V0
あの天体観測からしばらくして、ついにアナスタシアはデビューした。
日本ではあまり見受けられないそのビジュアルは人々を魅了し、謙虚ともいえる姿勢が反感を生むことなくアナスタシアというアイドルを世間に広めた。広めたはずなのだが………。
「プロデューサー、星を見に行きたいです」
謙虚な姿勢はいづこへ、あの天体観測以来、アナスタシアはひどく甘えん坊になった。
「この前行ったばかりじゃないか………」
「また見に行きたいんです。お願いします」
くいくいと袖を引かれ、溜息を吐く。
原因はおそらく自分があの日アイドルに頼られるのは嬉しいと言ってしまったことだろうし、実際このように甘えられるのはそれだけ彼女が自分を信頼してくれているということなので喜ばしいことなのだが、車で一、二時間程度で向かえる箇所で綺麗な星空が見えるところというのはそう数がなく、それを探すためプロデューサー業の合間にネットを漁らなければならない羽目になるので個人的にはあまり喜ばしくない。
「………ダー。甘えられて嬉しいですと言っていたのは嘘なんですね」
「その言い方だと渋谷に甘えられて鼻の下を伸ばす中年のように思われるからやめてくれ」
「おいこら巻き込み事故を起こすんじゃない。つうかまだ三十なったとこだっつうの。中年じゃねえし」
誰かが何か言ったが無視する。だがアナスタシアが絡んでいった。
「聞いてください凛のプロデューサー。プロデューサーが甲斐性なしなんです」
「天体観測くらい連れてってやれよ。若いのは走ってナンボだろ?」
「いやまあ、連れていきますけど………」
「わぁ………!」
渋々承諾すると、アナスタシアはあの日のように瞳を輝かせ、
「ありがとうございます、プロデューサー!」
満面の笑みを浮かべてくるものだから始末に負えない。
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