909:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/07(土) 23:38:00.32 ID:aAj+iwHSo
被害妄想かもしれないけど、ここまで来るとそうとしか考えようがない。
わざとお兄さんを避けお兄ちゃんと一緒に行動していた妹ちゃん。
思い通りにならず、あたしと一緒に行動したお兄さんに嫉妬してお兄さんに対して嫌味
な言葉を連発していた妹ちゃん。自分のことを姫と呼ばないお兄さんに対して苛立ちをぶ
つけた妹ちゃん。
そして。
妹ちゃんは知らない男の人たちに襲われた自分を身を張って助けたお兄さんに対して、
この旅行中で初めて素直な行動に出た。それはお兄さんに抱きついてキスすること。
よく考えるとあたしがショックなのは妹ちゃんの行動にではなく、お兄さんがそれを受
け入れたことなかもしれない。妹ちゃんがファミコンやブラコンなのは十分に承知してい
た。でも、お兄さんはそれを克服していい兄になるって言っていたのだ。そのお兄さんが
がほんの短い間で豹変した。妹ちゃんの抱擁と愛撫と口付けによって。
あたしにはもう喪失感以外の何も感じられなかった。
「次で降りるぞ」
呆けたように脱力したまま腰かけていたあたしに、お兄ちゃんが声をかけた。
「おまえ、それしか食べないの」
お兄ちゃんとあたしは、三十分くらい並んで入場券を入手してから、植物に入場した。
今となっては並んでまでここに入って食虫植物を見たいとは全く思わなかったけど、それ
でも何かしなければ時間が潰せないことも確かだった。
お兄ちゃんも熱帯の植物には何の興味もないようだったから、あたしたちは入園してす
ぐに植物園内のレストランに入った。食欲は全くなかったけど。
「うん。お腹すいてない」
「・・・・・・おまえが医務室で何を見たのかは想像がつくよ」
プールから出て以来何も核心に迫るようなことは何も言わなかったお兄ちゃんが、よう
やくあたしを見つめて話し出した。
「え」
「まあ、僕が言うのも何だけどさ。あまり気を落とすな」
「何でわかるの」
「妹ちゃってファミコンなんだろ? 身を張って自分を助けた兄貴にべたべたするくらい
は当然だろ。でもさ。おまえもそれくらいわかっていて兄貴のことを好きになったんだ
ろ」
「それは・・・・・・まあそうだけど」
「だったらあまり慌てるな。僕はまだ妹ちゃんを諦めてないよ」
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