977:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/29(日) 23:35:45.37 ID:n+EZ0SdMo
「じゃあ本音では妹ちゃんの親権とか一緒に暮らすことは諦めているということですね」
「まだわからないと思っているよ。私には姫に好かれているという自信もある」
それは家庭を大切にしていた頃のあなたでしょ。あたしは思った。妹ちゃんもお兄ちゃ
んも同じだ。自分の家族を裏切って崩壊させた池山さんやママと一緒に暮らすことを選ぶ
のだろうか。
それに妹ちゃんと一つの家族として一緒に暮らすことをあたしは本当に望んでいるのだ
ろうか。本音で言えば、前に夢想したようにお兄さんと一緒に暮らすことに対しては期待
があることは否定できない。でもお兄さんと一緒に暮らすことは保証されているわけでは
なく、池山さんはあたしとお兄さんを付き合わせたがってはいるけど、本音では妹ちゃん
と一緒に暮らしたいという気持の方を優先しているとしか思えない。
「着いたよ」
「ありがとう」
「いや。また迎えに行くよ」
「・・・・・・別にいいのに」
「いや。私の役目を兄に譲るまでは、仕事の都合がつく限り送らせてもらうから」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
自宅は暗かった。誰もいないようだ。迎えに来なかったくらいだからママが会社にいる
ことはわかっていたし、パパがいないことも意外ではない。それにお兄ちゃんも最近は帰
宅時間が遅いようだった。あたしどころではなく予備校で受験勉強をしているのだろう。
学校でも妹ちゃんには無視されていたし、家庭にも話し相手がいない。いったいいつか
らこんなに孤独になってしまったのだろう。そう思うとママの浮気相手、再婚相手の池山
さんとの会話だって、今のあたしには貴重なコミュニケーションになっていたのだった。
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