過去ログ - 竜華「何で死んでもうたん怜……?」 怜ちゃん「何でやろな〜」
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16: ◆lhQ1p.wlng[saga sage]
2013/08/14(水) 22:33:27.10 ID:tJOLQydwo
『なあ怜』

翌日の朝。登校中の竜華は近くの家の塀や道路をすり抜けて遊んでいる怜を呼んだ。

『なんや竜華?』

飛び回っていた怜が道路から頭だけを出して制止した。

『前はずっとおられへん言うとったよな? 今は大丈夫なん?』

『みたいやな。本体がおらんようになったからやろうか』

本体。怜は何気なく口にするが竜華は胸に刺すような痛みを感じる。

(怜は生き返ったわけやない……)

竜華にのしかかるのは暗い現実。怜はもう竜華以外の人間とはコミュニケーションすら取れないという事実だ。

(いや、うちとは取れるやろ! うちを通せば怜も皆と話すことが出来る!)

話すことが出来るだけだが少なくとも遺影や墓石に語りかけるように一方的にはならない。

それは充分に恵まれたことではないか。竜華はそう自分に言い聞かせて沈みかけた気持ちを奮い立たせた。

『怜』

歩かなくていいから楽だと言いながら地面を背泳ぎするように滑っていく怜に再度呼びかける竜華。

『今度はなんや竜華?』

『小母さん達に会いに行かへん?』

今度は動きを止めない怜に竜華はそう持ちかける。

竜華の言う小母さん達とは怜の両親のことである。

怜が亡くなって竜華と同じかそれ以上に苦しんでいるはずの二人。怜と会話することが出来れば救われるはずだと竜華は考えていた。

だが怜は、

『やめとくわ』

泳ぎ続けながら竜華の提案を断った。

『何で!? 小母さん達もきっと怜と話したい思っとるはずやのに!』

まさか断られるとは思っていなかった竜華は遠ざかっていく怜に叫ぶ。

『そらそうやろうけどな、母さん達は怜ちゃんのこと知らんねんで。知っとるセーラ達すら半信半疑やったのが、どうやったら信じられんねん。質の悪い冗談言うとるようにしか聞こえへんよ』


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