542:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/03/06(木) 21:16:27.16 ID:N71QsOM90
「このぉ!!」
武器を失った魔術師は殴りかかろうとするが、ただのケンカならば上条にも分はある。
魔術師のパンチを避けて上条は魔術師の顔面に一撃を食らわす。
魔術師の顔にヒビが入り、崩れたところから褐色の肌が露わになった。
(でも、どうして)
命がけの戦いの中でも考えていた。分らないのだ。
あの時、美琴を自分のものにすると宣言した時の魔術師は嘘偽りを感じなかった。
解るのだ。自分と同じで、美琴が本当に好きなのだと。
だからこそ、美琴の命を狙う理由が。
「何で、海原に化けてまで、仮面を被ってまで美琴に、海原光輝の偽物になってまで美琴!?」
「……偽物じゃあ、いけませんか」
ポツリと、魔術師が恨めしそうに呟いた。
「貴方が、貴方さえいなければ私だってこんなことはしませんでしたよ!!」
その叫びに反応するかのようにまた一本、鉄骨が降ってきた。
「貴方の力は強大です。錬金術師アウレオルス=イザード、学園都市第一位の一方通行の撃破だけでなく、貴方を中心にイギリス清教に第三位の御坂美琴。もう組織は個人として見逃せない。『上条勢力』という一つの組織が出来上がってしまっているのですよ!!」
結局は、上条当麻が悪いと。
誰かが泣いていたから。それだけを理由に戦った結果が、彼を苦しめていた。
そして、自分がいたから、美琴の命も狙われたと。
「組織の命令で自分は御坂さんを殺そうとしました。でも、できなかったんですよ。海原光輝だって素直に皮を渡してくれれば見逃してやるつもりだったんですが、能力で冷凍状態になったのか、槍でも分解できませんでしたよ」
この魔術師は、美琴を傷つけない為に、ここにいる。
「せめて貴方さえ始末できれば」
「そんなこと、させるわけねぇだろ」
上条は、美琴を悲しませない為にその拳を握る。
お互いに、真っすぐ駆けだす。
勝負はすぐについた。
魔術師よりも早く、上条の拳が届いた。それだけだ。
倒れこむ魔術師と上条の間に、支柱を失った鉄骨が何本も降りかかった。
「っ!!」
動けない魔術師を助けようと駆けより、そして。
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