36: ◆iIfvn1jtvs[saga]
2013/08/20(火) 21:42:32.58 ID:A3JfcJLv0
魂の燃料は感情だ。
今、彼が再び蘇らせた戦意と名も分からぬ熱い感情はその材料としては十分過ぎる代物だった。
ひび割れた魂に大量の燃料が注がれる。
煮えたぎったそれが魂を大きく揺さぶる。
壊れかけの魂が再び、音をたて、動きだす。
青年の口端がつり上がり、三日月の様に歪んだ。
殺意と狂喜。
その二つを楽しむ、狂人染みた笑顔。
姫と同じ、化け物の笑顔。
「知ってるか? 相手のバージンを奪った奴は責任をとらなくちゃいけないんだぜ」
右腕を振りかぶり、彼女目掛けて殴りかかる。
当てる必要はない、ただ一瞬の隙を生ませるだけでいい。
姫は体を捻り、その攻撃を右手で受け流す。
体勢の崩れない、完璧で優雅な動作で青年の一撃を回避する。
だが、その時彼女の左手の握る力がほんの少しだけ弱まったのを彼は見逃さなかった。
素早く重心を後ろにかけ、大きく後ろに跳ぶ。
予備動作はほぼ無い。
簡単で単純だが、最善の行動。
彼女がその事に気付いた時にはもう、彼女の手の届かない場所に青年は立っていた。
傷口はすでに塞がり、魂は唸り声をあげながら動きだしている。
剥き出しの闘志が牙を剥く。
狂喜が心を熱く燃やす。
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