過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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253:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/05(木) 18:19:27.61 ID:6HVoPzVuo



 食事を終えて様子を見に行くと、空になった食器がベッドの脇の椅子の上に置かれていた。
 妹は眠っているようだった。

 食器を持って部屋を出るときに、ふと、さっき妹が何かを言いかけていたことを思い出す。

 ――何かしているって確信が持てないと、自分がここに居ていいのか分からなくなるって。

 部屋を出て、キッチンの流し台に食器を置く。わけもなく溜め息が出そうだった。
 自分ではもう覚えていないような些細な言葉。取るに足らない軽口。
 そういうことをあいつはずっと覚えている。

 だから俺は、人一倍、言葉にも行動にも気をつけなきゃいけなかった。

 俺はそんなことを言うべきじゃなかった。
 何度か頭の中で自分にそう言い聞かせたあと、そのことについては忘れることにした。
 
 それでも、納得とも驚きともつかない奇妙な気持ちが、俺の中から消えなかった。

 あいつはやはり、「自分はここに居てもいいんだ」と納得するために、必死に家事をこなしているのかもしれない。
 それは、ずっと前から予想していたことではあった。
 そう考えてから俺は悲しくなった。結局俺は、今まであいつに本当に何もしてやれていなかったのだ。



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