過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[saga]
2013/08/22(木) 19:15:03.97 ID:ESoSJTHeo
俺はポケットから自分の携帯を取り出し。
「これ、さっきそこで拾ったんですけど、あなたのじゃないですか?」
とっさに逃げに走った。
口に出してから、「人違い」でもよかったな、と気付く。思いつかなかった。
「……いえ。わたしのじゃ、ないですけど」
彼女は不審そうな顔で俺を見た。
「そ、っか。勘違いみたいだな。ごめんなさい。他の人みたいだ」
俺は作り笑いをした。女の子は笑わなかった。困ったことに。
「運営の人に渡した方がいいと思いますよ」
「……そうします。すみません、声を掛けて」
「……いえ。それじゃあわたし、待たせてる人がいるので」
ほら。やっぱりこの通り。
祭りでナンパなんて馬鹿げてる。
俺は笑いたかった。うまく笑えなかったけど。
彼女は背を向けて去って行った。
俺は恐怖に敗北した。苦痛は幻想ではなかった。それは未来にたしかに存在していた。
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