過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/22(木) 19:15:03.97 ID:ESoSJTHeo

 俺はポケットから自分の携帯を取り出し。

「これ、さっきそこで拾ったんですけど、あなたのじゃないですか?」
 
 とっさに逃げに走った。
 口に出してから、「人違い」でもよかったな、と気付く。思いつかなかった。

「……いえ。わたしのじゃ、ないですけど」

 彼女は不審そうな顔で俺を見た。

「そ、っか。勘違いみたいだな。ごめんなさい。他の人みたいだ」

 俺は作り笑いをした。女の子は笑わなかった。困ったことに。
 
「運営の人に渡した方がいいと思いますよ」

「……そうします。すみません、声を掛けて」

「……いえ。それじゃあわたし、待たせてる人がいるので」

 ほら。やっぱりこの通り。
 祭りでナンパなんて馬鹿げてる。
 俺は笑いたかった。うまく笑えなかったけど。

 彼女は背を向けて去って行った。
 俺は恐怖に敗北した。苦痛は幻想ではなかった。それは未来にたしかに存在していた。
 



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