過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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527:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/28(土) 14:02:05.76 ID:KVRRLmPoo



 屋上から見る空は鮮やかだった。雲は青紫で、空は橙で、夕陽は黄色。絵に描いたような光景。
 風が少し強かった。こんなところにいたら、また風邪を引いてしまうかもしれない。
  
 まあいいやと俺は思った。屋上には誰の姿もなかった。夕陽はいつになく眩しい。
 
 夕陽。
 すくなくとも、明日もがんばろうなんて気にはならなかった。だからってうんざりしたわけでもない。
 ただ、綺麗だった。でもそれだけだった。遠い世界の出来事。手の届かない場所の出来事。

 誰もいない。誰もいないっていうことは、誰にも見られてないってことだ。 
 誰にも見られてないってことは、何をしても分からないってことだ。

 ここでならなんだってできる。思う存分泣くことだってできる。

 そう思うと家までの帰り道が余計に長く感じられた。ここから動くことなんて二度とできないような気がした。
 
 俺は屋上に座り込んでじっと空を睨んだ。フェンス。隔絶されてる。向こうに手は届かない。 
 フェンスが邪魔だなあと俺は思った。空がよく見えないじゃないか。
 
 まあ、それが取り立ててどうだというわけでもなかった。べつに空が見たくてここに来たわけでもない。




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