過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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[saga]
2013/09/28(土) 14:02:05.76 ID:KVRRLmPoo
◇
屋上から見る空は鮮やかだった。雲は青紫で、空は橙で、夕陽は黄色。絵に描いたような光景。
風が少し強かった。こんなところにいたら、また風邪を引いてしまうかもしれない。
まあいいやと俺は思った。屋上には誰の姿もなかった。夕陽はいつになく眩しい。
夕陽。
すくなくとも、明日もがんばろうなんて気にはならなかった。だからってうんざりしたわけでもない。
ただ、綺麗だった。でもそれだけだった。遠い世界の出来事。手の届かない場所の出来事。
誰もいない。誰もいないっていうことは、誰にも見られてないってことだ。
誰にも見られてないってことは、何をしても分からないってことだ。
ここでならなんだってできる。思う存分泣くことだってできる。
そう思うと家までの帰り道が余計に長く感じられた。ここから動くことなんて二度とできないような気がした。
俺は屋上に座り込んでじっと空を睨んだ。フェンス。隔絶されてる。向こうに手は届かない。
フェンスが邪魔だなあと俺は思った。空がよく見えないじゃないか。
まあ、それが取り立ててどうだというわけでもなかった。べつに空が見たくてここに来たわけでもない。
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