過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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533:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/09/28(土) 14:06:42.89 ID:KVRRLmPoo

 俺は枝野の顔をじっと見つめた。彼女も負けじと俺の顔を見た。でも結局、目を逸らしたのは枝野が先だった。

 必要とされたかった、のだろうか、俺は。
 よくわからない。そんなふうに逃げ出そうとする俺の思考を、

「失望されるのが怖かった?」
 
 枝野の一言が捕らえた。彼女は本当に、魔法が使えるのだという気がした。

「そうだね」

 俺は軽く溜め息をついてから肯定した。肯定してしまうと多少楽になった。
 それは事実だった。

"事実に怯える必要はない。"と俺は唱えた。コインロッカー・ベイビーズ。
"ただ認めて何日間か泣けば良かったのだ。"

「臆病者」と枝野は言った。その言葉はいくらか俺を傷つけたけれど、だからといって反論があるわけでもない。
 俺は少し考えてから、枝野の顔をもう一度見つめた。彼女は少し怯んだ。

「ねえ、きみのこと、好きだったって言ったら信じる?」

「うそ」と彼女は言った。鼻で笑うように。それでもどこかしら、隠しきれない動揺が漏れ出たような笑い方。

 こんな悪趣味な嘘を誰がつくだろう。




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