過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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605:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/07(月) 19:44:57.25 ID:0AsOA6Dxo



 文化祭の前日、俺が家に帰ったときには時刻は夕方五時を過ぎていた。
 
 いつもより少し早いくらいだったのだけれど、家の中の空気はどこか違っていた。変だった。
 何か澱んでいる気がした。もちろん俺の第六感なんてあてにはならないので、気のせいだろうと思うことにした。

 でも違った。
 人の気配のしないリビングを抜けて、階段を昇り自室に向かう途中で、何か奇妙な音が聞こえたのだ。

 音は妹の部屋から漏れ出ていた。
 その音がなんなのか、俺には分からなかったけれど、なぜか人を不安にさせる音。

 俺はノックをした。少し待っても返事はない。それでもどうしても気になった。

 だから、扉を開けた。

 妹はベッドの上に居た。制服姿のまま。うつぶせになっている。
 音の正体はすぐに分かった。妹は泣いているのだ。

 俺は覗き見た罪悪感と気まずさから、何を言っていいのか分からなくなった。
 結局でてきた言葉は、

「ただいま」

 というどうしようもないものだった。





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