過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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606:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/07(月) 19:45:24.01 ID:0AsOA6Dxo

 それでも妹は、「おかえり」と震えた声で返事を寄越して、顔をあげてくれた。

 どうかしたか、と訊こうとした。でも、訊いていいのか分からなかった。
 訊いて俺にどうにかできることなのか、分からなかった。自分が何かの役に立てるかさえ分からない。

 でも、それは俺の事情であって、彼女の事情じゃない。
 だから俺は訊いてみることにした。「どうかしたのか」と。拒絶されてもそのときはそのときだった。

 言葉は驚くほどするりと口から出てきた。
 俺の声に、妹は何を言っていいか分からないというふうに俯いた。

「悲しいのか」と俺は訊いた。妹は何も言わずに頷いた。

「何が悲しい?」と俺は続けて訊ねる。彼女は何も言ってくれなかった。出て行けとすら言われない。
 やがて、静かな声が聞こえてきた。

「真っ暗なトンネルの中をずっと歩いてる感じがする」

「トンネル?」

「とても不安定で、ぐらぐらする場所を歩いている感じ」




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