過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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608:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/07(月) 19:46:19.74 ID:0AsOA6Dxo

 俺は妹のところに歩み寄って、枕に顔を埋める彼女の頭を少し撫でた。
 そんなことをしている自分に嫌気が差した。いつものような自己嫌悪が、俺の心を支配する。

 でも今は、俺の気持ちなんかより、妹をどうにか楽にさせてやりたかった。
 こんな行為に意味があるのか、分からなかったけれど。

 妹はしばらくされるがままになっていたけれど、不意に腕を動かして、俺の手首を掴んだ。
 それから、俺の腕を静かに押しのけた。拒絶されたのかと思った。

 けれど、彼女の手のひらは、俺の腕を離そうとはしなかった。
 逡巡のような、躊躇のような短い時間を挟んでから、静かに手首から離れ、そっと俺の手のひらを握った。
 
「どうした?」

 と俺は訊ねた。
 
「出口が……」

「え?」

「……出口が、あったらいいよね。今あるすべての問題の、全部、全部から逃れられる場所への、出口」




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