過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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92:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/25(日) 16:24:21.67 ID:xe0Bkj3eo

 物語の中では、悲惨な虐待と監禁の末にひとりの女の子が死につつあった。
 体調のせいか、あるいは訳に変な部分があるせいか、いまいち小説に没入できない。

 現実は柔らかな風が吹き込む夕方の文芸部室で、俺は空想とのギャップに目が眩むような思いがした。
 いや、違う。そうじゃないだろう、と俺は思った。どうしてそんなことを思ったのかは分からなかった。

 いつのまにか部長と編入生の会話は途切れていて、部室からは誰の声も消えていた。

 不意に、その沈黙を編入生が破った。

「あの」

 と彼女は声をあげた。てっきり部長に言ったのかと思って小説を読むのに集中していると、

「呼ばれてるよー?」

 とその当人が言ったので、俺は顔をあげた。

「はい?」

 自分の出した声はマスクのせいで籠っていて、うんざりした。
 編入生はたしかにこちらを見ている。



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