過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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98:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/25(日) 16:31:42.90 ID:xe0Bkj3eo



 昔から、文章を書くのは嫌いだった。作文や感想文なんて大の苦手だった。

 夏休みの読書感想文なんかは、妹に一枚五百円で書いてもらうことにしていたくらいだ(割と頻繁に入賞した)。

 俺が自分の意思で文章を書くようになったのは中学三年の春先のことだった。

 初めて書いたのは、「彼女は退屈していた。」から始まり、「だから彼女は出かけることにした。」で終わる五千字ほどの物語だった。

 要約してしまえば「彼女は退屈していた。だから彼女は出かけることにした。」で済む文章だ。
 内容は支離滅裂だったし、矛盾を含んでいた。たいして面白いこともなかった。

 何度読み返してみても、その文章に何かの意味があるなんて思えなかった。
 でも、意味があるかどうかはともかく、問題が多くあることは分かった。

 俺はそれを修正せずに、別の話を書くことにした。今度はできるかぎり問題を少なくし、体裁を整えることに腐心した。
 また「彼女は退屈していた。」から始まり「だから彼女は出かけることにした。」で終わる文章だった。

 そうした話を、俺は一年間で十八本書いた。
「彼女」は少女であったり老婆であったりしたし、「退屈」している理由だってばらばらだった。
 字数もさまざまで、二千字で終わるものもあれば十五万字かかるものもあった。



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