過去ログ - 苗木「僕たちの日常の短編集」
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3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/23(金) 23:32:01.60 ID:gcpQWKJ70
幸運です

って。



 中学生のクラスメイトは皆口をあけていた。

4択クイズのあてずっぽうの正答率25パーセント。
ジャンプの懸賞応募に、かつて200名様にプレゼントのキャラコースターセットが人生で一度当たったっきり。
ジャンケンは弱い。ババ抜きは強い。

 中学時代に付き添っていた友達は、仲が良ければいいほど僕の才能を聞いて目を丸くする。
そんなにも、僕の日常は平運。
どこぞのチート右手を持ったツンツン少年のような不幸でなければ。
ラッキョウを食べて返信するヒーローのように幸運でもない。


 皆からの待望や嫉妬の瞳が。
数日で奇異の目へと変わっていくのが分かった。


 裏口入学とか、超高校級の嘘吐きとか呼ばれる時もあった。

 入学を辞めようかとも思ったが、そんな勇気も行動力もなく。
トントンと入学してしまった。



 もう、その時にはすでに。

 怖かった。

周りのクラスメイトとは、悪い意味で一線を画した。
隣の席には超高校級のアイドル。

前の席の格闘家のせいで黒板が見えないし、

後ろの席からは軍人のナイフを研磨する音が聞こえてくる。

 住む世界が違っていた。
なんでこんな僕が…。
普通の人間の僕が…。

 合格通知が来たのその日から。僕の才能は【コンプレックス】になった。
勝手にきめられた才能。
怯えていたんだ。怖かったんだ。

 僕の才能を知った皆が。あの時の。
中学時代の友達のような目をするのが。
僕のすべてを、否定されることが。



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