125:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/31(土) 05:22:51.93 ID:EaOumZa8o
「もう大丈夫なのか?」
フロントの男は怪訝そうな顔で僕たちを見た。
「うん、もう平気だよ」
血色の良くなったヒナが笑って答えた。
「そうか? ならよかったが」
「それでなんですけど」
今度は僕が口を開く。
「僕たち、このホテルひきはらおうと思いまして」
「そりゃまたどういうことだ? いやホテルだし引きとめるこたできねえけどよ」
「どこか遠くに引っ越そうと思うんです」
「はあ……」
「大丈夫、前納したホテル代返せなんて言わないからさ」
悪戯っぽくヒナは言って、ホテルの出口へ向かった。
「じゃあね」
「……おう、じゃあな」
フロントの男は、見間違いじゃなければ、寂しそうだった。すごく。ものすごく。
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