127:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/31(土) 05:24:14.72 ID:EaOumZa8o
古いセダンに乗り込みながら彼女にそのことを言うと、ヒナはくすくすと笑った。
「知ってる? あの人にも昔娘がいたんだって」
「へえ」
「小さい時に病気で亡くなったらしいんだけど。名前がヒナコちゃんだとかで」
「なるほど」
キーを差し込み、回す。
エンジンが意外に軽快な音を立てて始動する。
「じゃあ、行こうか」
「うん」
「どこにする?」
「あなたと一緒ならどこにでも!」
「了解」
アクセルを踏み込んだ。
夜の道を僕たちの車だけが走る。
目的地はない。でも漠然と行きたいところはあった。
二人ともここらの地図には詳しくなかったので、適当に走った。
迷うことを恐れる必要はない。どうせもうどこにも戻れないのだから。
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