過去ログ - 吸血少女と待つ夜明け
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/24(土) 19:17:57.04 ID:9gYYSLduo

 具体的に言えば目だ。アルバイト先で僕を見る目。そして見ない目。
 容量いっぱいまで全力で働いて、返ってくるのが「あ、そう。お疲れ」という一瞥。
 じゃあこれやっといて、と僕を見もせず次の仕事を割り当てる。

 僕はそこにいるのだけれど、なんだろう、時々いないような気分になる。
 代わりにそこにいるのは、男一人分の労働力だ。
 最もよく言われるのが「ああ、いたの」。おはようでもなくお疲れでもない

 それ自体は大したことじゃない。
 僕みたいなフリーターの扱いとしては珍しくもないし要領の悪さが原因だからだ。
 大した学もなく仕事も遅い僕自身のせいだと思う。

 ただ、そうやって呑みこんだところで消化できないものは残る。
 それは身体にたまって僕を蝕む。

 それからぼんやりと思う。この先僕はどうなるんだろうと。
 こんなふうにぼんやりしたまま人生を終えるのかな、と。

 そうしたあれこれで疲れは少しずつ身体にたまり、僕を押しつぶそうと重圧をかける。
 きっとこれは一生ついてまわるんだろう。
 寒さに似たものを感じて上着の前を押さえてから、なんとか足を前に進め続けた。



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