過去ログ - 宥「玄ちゃん、あったかい?」
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/29(木) 00:22:37.40 ID:8JyrJxz20
夏の終わり

私、松実宥はこの季節に複雑な想いを持っている。

朝晩の空気が冷え始める。

普通の人より寒がりの私は、これからやってくる秋、そして冬を思って憂鬱になる。

でも一方で、この季節を楽しみにしている私もいる。

夏の間は「暑いからごめんね」と、一緒に寝てくれない妹が同衾をしてくれるようになるのもこの時期だからだ。

大好きな彼女と寝ていると、体だけじゃなく心まであったかくなれる。

そこを加味して考えると、ちょっとくらい寒くなってもお得な季節といえるかもしれない。



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2013/08/29(木) 00:24:16.90 ID:xI+QPA0so
姉妹百合期待


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2013/08/29(木) 00:25:14.73 ID:8JyrJxz20

妹の松実玄。

彼女もこの季節には複雑な想いを抱いているらしい。

以下略



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2013/08/29(木) 00:27:31.23 ID:8JyrJxz20

だとしたらせめて、私も彼女の心を暖めてあげたい。

そうして少しでも癒して、満たしてあげられたらと、そう思う。

以下略



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/29(木) 00:31:25.98 ID:8JyrJxz20

私は小さい頃から、父に定期的に病院に連れて行かれている。体調を精密に検査するためだ。

私は夏でも冬服に、マフラーと手袋がなければ寒さにがたがた震えているような異常体質である。

以下略



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2013/08/29(木) 00:34:35.85 ID:8JyrJxz20
今日は阿知賀女子麻雀部のみんなでお泊り会。みんなが松実館に来てくれた。

さっきから玄ちゃんは、みんなをもてなすためにお茶を準備したり、お布団を敷いたり甲斐甲斐しく働いている。

手伝おうかと訊いても、「じゃあみんなの話し相手をお願い」と、いつもの柔らかい笑顔でそう答える。
以下略



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2013/08/29(木) 00:35:39.46 ID:8JyrJxz20

玄ちゃんはいつもそう。

誰よりも気が利いて、奉仕を惜しまない。ただ、みんなが快適に過ごせることを喜んでいる。

以下略



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/29(木) 00:39:35.13 ID:8JyrJxz20

きれたお茶の交換に立った玄ちゃんがいない間に、みんなにちょっとだけ妹自慢。

「玄ちゃんは本当に優しい」

以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/29(木) 00:48:14.33 ID:8JyrJxz20


だって炬燵が離してくれないんだもん。

なんて情けないことは当然言えずにいると、穏乃ちゃんが話題を変えてくれた。
以下略



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/29(木) 00:50:52.83 ID:8JyrJxz20
つづく




11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/29(木) 00:52:05.15 ID:pfXyKGKto
期待


12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/29(木) 02:33:21.76 ID:8JyrJxz20

初秋、穏やかな陽光をうけて午後の授業を受けていた私の眠気は、けたたましいサイレンの音に吹き飛んだ。

窓から見ると校門で救急車が赤いランプを回していて、救急隊員やら先生やらがせわしなく動いているのが見える。

以下略



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/29(木) 02:34:18.31 ID:8JyrJxz20


玄ちゃんはその時、体育の授業でグラウンドをジョギングしていたそうだ。

玄ちゃんの前を走っていた灼ちゃんが、急に苦しそうにして速度を落とした私の妹に気づいて走り寄った途端、激しく咳き込んで、吐血し、倒れた。
以下略



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/29(木) 02:58:31.03 ID:8JyrJxz20


「えへへ、この度はお騒がせをして大変失礼をば!」

病院のベッドの上で、いつもと変わらぬ笑顔の玄ちゃんは言った。
以下略



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/29(木) 03:01:50.46 ID:8JyrJxz20

集中治療室のランプが消えると、お医者さんが出てきて妹のとりあえずの無事が伝えられた。

私はお父さんと泣いて喜んだ。

以下略



16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/29(木) 07:33:08.17 ID:/CQfntBIo
えらく急だな
たしかに玄って薄命なイメージあるよね


17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/29(木) 08:45:12.23 ID:RD+a45n4o
ドキドキする
続き期待


18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/29(木) 16:49:48.20 ID:8JyrJxz20

突然の死の宣告を受けたその日、どうやって松実館に帰りついたのかは覚えていない。

覚えているのは、父が母の位牌の前で土下座して泣いていたこと。

以下略



19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/29(木) 16:50:47.41 ID:8JyrJxz20


玄ちゃんの指が私の髪の間を流れていく。優しく優しく、繰り返し繰り返し。

玄ちゃんの肩に押しつけた鼻から、彼女の匂いが入ってきて、私を満たす。
以下略



20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/29(木) 16:54:21.13 ID:8JyrJxz20

唇をきゅっと結んで、覚悟を決める。

「玄ちゃん」

以下略



21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/08/29(木) 16:55:35.38 ID:8JyrJxz20

「お姉ちゃん」

玄ちゃんがくすっと息を漏らして笑った。

以下略



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